レトロでどこでも小さな映画館 紙芝居の魅力
「紙芝居」と聞くと懐かしい。そういうものもあったねー。などと思われる人も多いかと思います。
現代では、スマートフォンやタブレットでアニメ作品などを手軽に観れますし、
少し前は、ポータブルDVDプレイヤーなどでお子さんに付き添う親御様が用事があって、待っていて欲しいと思うときに上手く活用されるかと思います。
昔は、そんな代物は勿論無かった為、絵本を与えたりしていたと思います。
近年では、公園に集まっているお子さんたちがタブレットを持って皆で動画鑑賞をしている光景も珍しく無くなりました。
対して、昔は公園で身体を動かして遊ぶお子さんがリラックスできる娯楽として、自転車などで訪れたおじさんが紙芝居や人形劇を披露するものでした。
今では全然見掛けなくなりましたね。
知らない人に声をかけられても無視するんだよ!
声をかけちゃいけないよ!
などと危険な事例が発生しているが故にその対策として、警戒するように育てられています。
致し方ないことですが、環境というものは時代と共に変わっていくものですし、それに伴い文化も変わっていくものです。
紙芝居の歴史
紙芝居の発祥は、元々江戸時代に存在した「のぞきからくり」や「写し絵」が派生したものと言われています。
「のぞきからくり」とは、1.8メートル程の大きな箱の表に複数の穴が開けられており、その中にレンズをはめこまれていて、その穴から絵を覗かせる仕組みになっています。
「写し絵」とは、木製の小箱に光源となる油ランプを入れて、フィルムに相当する種板に光をあてて、和紙のスクリーンに写し出すものです。明治中期まで栄えた娯楽で当初においては革新的な技術を用いています。
戦後、荒廃された地から活気をつけるために街角での紙芝居が盛んに行われていました。
教育紙芝居運動などにより幼稚園や保育園でも幼児向けの紙芝居が本格化していきました。
しかし、1960年(昭和35年)頃から日本にテレビが普及した影響から次第に紙芝居の存在感は薄くなっていきます。
1967(昭和42)年の文部省による教材基準の改訂により紙芝居を学校教育から廃止することになりました。
こうして、紙芝居は現代に向けて出版社も減少しつつ衰退傾向を迎えているのです。
現在の紙芝居
ただ、衰退していく中でもひとつのものを全ての人間が見離すということは恐らく有り得ないことでしょう。
紙芝居でも言えることで、現在でも幼稚園や保育園・図書館などで紙芝居は少なからず生き続けています。
また、インターネットなどの情報伝達システムの普及により、便利さがメリットではあるもののコミュニケーションの稀薄さがデメリットになる近代において、人と人との触れ合いを築いていこうという観点などから紙芝居や人形劇
の良さが見直されています。
また、介護の場でも高齢者のケアの場でも徐々に採り入れられていますし、海外諸国でも日本の文化として伝導されています。
昔のモノであってもどの時代かに存在する限り、人の記憶にある限り、少なからず語り継がれていくものなのです。
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